P・I ウォッチングのページ(植物)    

P はplant(植物)、I はInsect(昆虫)を表します。
植物は長岡総子さんが担当しています。


2014年1月25日掲載 
観察会 植物・昆虫ウォッチング「高幡不動から七生公園-もみじと虫たち―」
2013年12月1日(日)

コース:高幡不動駅―高幡不動境内―かたらいの路ハイキングコース―七生公園(南平地区)―七生公園(程久保地区)―多摩動物公園駅
快晴の一日、富士山から奥多摩の山々の眺めは素晴らしかった。高幡不動で「アイグロマツ」(アカマツと
クロマツの雑種)に半寄生するヤドリギの仲間、マツグミを仰ぎ見る。イチョウ、アオハダの黄葉は真っ盛りで、
とても良いコースでした。カエデ類の紅葉は1週間前が盛りだったので、その写真も混ぜて載せておきます。

1.高幡不動境内の一角 2.高幡不動境内の紅葉
イロハモミジやオオモミジが多い。ハウチワカエデ、
コハウチワカエデなども境内には見られる。
3.ヤブムラサキ(クマツヅラ科)    
葉も枝も毛だらけ。果実の下部が毛だらけの萼に
包まれていた。
4.ムラサキシキブ(クマツヅラ科)
紫色の鮮やかな実
5.ゴンズイ(ミツバウツギ科)  
熟した赤い果実は裂け、黒い艶のある種子が
顔を見せている。
  6.クロモジ(クスノキ科)
黄葉、丸い花芽と細長い葉芽が見える。
7.ネジキ(ツツジ科)
樹皮には縦筋が入り、幹はねじれている。
8.ネジキ
葉はまだ緑。高幡不動にはネジキが多い。
 
9.かたらいの路の途中から見る富士山。   10.ヒイラギ(モクセイ科)
冬に咲く白い花。七生公園(程久保)
 
11.ハリギリ(ウコギ科)
鈴なりの黒い果実。七生公園には実生が多い。
  12.イイギリ(イイギリ科)  
赤い実。小さな果実を割ると中から数十個の種子が
出てくる。
 
13.ワルナスビ(ナス科)
葉は枯れ、大きな黄色い実が残る
  14.アオハダ(モチノキ科)の黄葉
短枝がくっきり。

2013年11月30日掲載 
植物・昆虫ウォッチング「多摩川でカワラノギクと昆虫を観る」
10月27日(日)快晴 <羽村市、あきる野市、福生市>

コース  羽村駅……多摩川……羽村郷土博物館……永田橋==福生駅
台風一過、抜けるような青空のもと、JR青梅線羽村駅から多摩川へと下る。前日の台風で川の水
かさは増し、やや白濁した水が滔々と流れていた。羽村カワラノギク保全地の花は昨年より多かった。

1. クサギ(クマツヅラ科クサギ属)
赤い萼から藍色の果実が顔をだし、ツートンカラーが目立つ。 
 
2. イヌアワ(イネ科エノコログサ属)
まばらに小穂がついている。しかしこれもエノコログサの仲間。
 
3. カワラノギク(キク科シオン属)学名はAster kantoensis
羽村橋上流の保全地では昨年より多くの花がみられた。関東地方の多摩川、相模川、鬼怒川などに自生する。 
 
4. キササゲ(ノウゼンカズラ科キササゲ属)
中国原産。河原など日の当たる場所で野生化し、多摩川では近年増えている。長く垂れ下がった果実をむくと、
両端に密生する毛をもつ種子が出てくる。 
 
5. ヒロハノカワラサイコ(バラ科キジムシロ属)
地際に根生葉がべったりと広がっていた。小葉は7~13個で、カワラサイコ(15~29個)より少ない。
羽村橋から永田橋周辺はヒロハノカワラサイコが分布。 
 
6.ムクロジ(ムクロジ科ムクロジ属) 学名はSapindus mukorossi
右岸の樹林の中を歩いているとムクロジの実が落ちていた。見上げるとオニグルミに混じって実をたわわにつけている!  
 
7.コシオガマ(ハマウツボ科コシオガマ属)
かつてはゴマノハグサ科だったが新分類ではハマウツボ科の半寄生植物。ピンクの可愛い花が路傍にひっそりと咲く。  
 
8.スズサイコ(キョウチクトウ科カモメヅル属)
新分類ではガガイモ科からキョウチクトウ科に。右岸の土手に袋果が垂れていた。 
 
9. 永田地区のカワラノギク
永田橋上流の礫河原に咲くカワラノギク。かつて造成された実験区から種子が散布され、礫地で広く花開く。 
 
10.カワラノギクの実生  踏まないでね! 
 
11.アオツヅラフジ(ツヅラフジ科アオツヅラフジ属)
青黒い実をたわわにつけていた。むくとアンモナイトのようにも見える種子が出てくる。雌雄別株。  
 

2013年10月6日掲載 
植物・昆虫ウォッチング「海辺の植物・昆虫をみよう」9月28日(土)三浦半島荒崎

 
1.ツルナ(ツルナ科→ハマミズナ科 ツルナ属 Tetragonia)蔓菜
「アイスプラントそっくり!」との声があがった。確かにアイスプラントも同じハマミズナ科だった。
冨栄養地を好む。ガク片の内側は黄色で花弁はない。湯がいて食べたらえぐみがあったが
シャキシャキ感は心地よい。 
 
2.オオイタビ(クワ科イチジク属 Ficus)
まだ熟していないが、イチジクそっくりの大きな果実にびっくり。常緑のつる性の木で気根を出して張り付いていた。
雌雄異株。 
 
3.ハマゴウ(クマツヅラ科ハマゴウ属 Vitex)
海岸砂地を這いつくばるように海辺の先端に向かって枝を伸ばす。花も少し残っていたがほとんどは台風の
影響もあってか、下見に行った10日前とは打って変わって枯れ木状。でも実はたわわに残る。
葉は対生、白色の毛が密生し、葉裏が真っ白。 
 
4.ハマゴウの残り花
 
5.ボタンボウフウ(セリ科カワラボウフウ属 Peucedanum)牡丹防風
ボタンに似た葉からついた名前。多数の白い小花からなる大きな複散形花序。
もう、果実もできていた。葉は淡青色を帯びる。
 
6. ネコノシタ(キク科 ハマグルマ属 Melanthera)
別名ハマグルマ。葉は肉厚で猫の舌のようにザラザラ。対生。縁に粗い鋸歯。茎には剛毛。花は黄色で茎の
先に1個咲く。砂地に生育し、大きな群落をつくっていた。 
 
7.ハマボッス(サクラソウ科オカトラノオ属 Lysimachia)浜払子
岩や崖地のあちこちで大きな茶褐色の丸い実を多数つけていた。その一枝の下に白花が咲いているのを
見つけてくれたのでパチリ!本来なら6月頃咲く。払子とは僧侶が使う法具でウマやウシの尾の毛を束ねて
柄を付けたもの。似ているかな? 
 
8.風衝低木林(ふうしょうていぼくりん)。
断崖地はやせた土壌、海水のしぶきを伴った強風の影響が強いため、マサキ、トベラ、シャリンバイなどの
低木からなる。イソギク、ハマカンゾウ、ハマボッスなどの草本も生育。先日の台風でやられたのか枯れ木
部分が目立つ。 
 
9.シャリンバイ(バラ科シャリンバイ属 Rhaphiolepis)車輪梅
地味な黒紫色の果実は鈴なり。公園などに植えられているが、もともと海岸に多い。 
 
10.トベラ(トベラ科トベラ属 Pittosporum)
果実が3裂し、赤い粘液質に包まれた種子が顔をのぞかせていた。6月頃白い花。枝や葉、根に臭気があり、
節分に鬼を追い払う魔除けに扉にさしたので扉の木。訛ってトベラ。 
 
11.ハマカンゾウ(ワスレグサ科ワスレグサ属 Hemerocallis)
以前はユリ科、新分類で新しい科になった。ヤブカンゾウやゼンテイカなどと同じ仲間。 
 
12.荒崎海岸
洗濯板のような磯がつづく。硬くて削られにくい凝灰岩層と柔らかい砂岩・泥岩層の
互層が作り出した風景。 
 
13.ソナレムグラ(アカネ科 フタバムグラ属 Hedyotis)磯馴葎
牧野富太郎が命名。岩の割れ目に生える常緑の多年草。葉は肉厚で対生。
見頃の白い花はとにかく小さい。 
 
14.ラセイタソウ(イラクサ科カラムシ属 Boehmeria)
葉の質がポルトガルの毛織物、ラシャ(ラセイタ)に似るという名前。
葉は対生、広卵形、厚くざらざらしている。脈はくぼむ。 
 
15. ワダン(キク科 アゼトウナ属 Crepidiastrum)
海岸の岩場や礫地に生える。葉はキャベツのよう。茎は太く短く、葉は根ぎわから
密に生え(根生葉)、しかも放射状に側枝を出す。黄色の頭花。海岸に生える菜、
ワタナから付いた名前らしい。ワタは海の古語。この写真は9月11日撮影。 
 
16.ハマオモト(ヒガンバナ科ハマオモト属 Crinum) 別名:ハマユウ(浜木綿)
花はもうほとんど終わっていて、実ができていた。分布北限は年平均気温15℃の
等温線とほぼ一致するといわれ、太平洋側では房総半島海岸。三浦市の年平均気温は
15.8℃。海岸に生育し、葉がオモト(万年青)に似るからハマオモト。 
 
17.ハマオモトの果実
 


2013年8月16日掲載 
観察会 植物・昆虫ウォッチング「里山保全地域、あきる野市横沢入りの夏」7月20日(土)

コース:武蔵増戸駅―横沢入り作業小屋―中央湿地・谷戸歩き―五日市駅
2006年(平成18)に東京都がはじめて里山保全地域に指定した地。一昨年は10月、田んぼの収穫の時期でいたが、
今年は季節を変えて夏。緑濃い谷戸から五日市までの谷沿いの緩やかな林道を歩きました。幸い、谷沿いは日蔭で、
気持ちよく歩けました。出会えた植物をいくつか紹介します。

写真1.ソクズ(スイカズラ科)
多数の白い花の中に蜜をためた黄色い小さな盃!
別名クサニワトコ。木本のニワトコに対して、これは
草本。葉も同じような形の羽状複葉。横沢入に曲が
る前の谷で満開。
写真2.オオマツヨイグサ(アカバナ科) 
マツヨイグサの仲間では花がもっとも大きい。葉の主
脈も赤味がない。立川さんが自宅付近で採ってきてく
れたメマツヨイグサと比べたら二回りくらい大きかった。
横沢入の曲がり角で迎えてくれた花。
写真3.谷戸の全景
湧水から七つの小谷戸ができているが、これは
横沢入のメインの谷戸。6月にはゲンジボルが多
数みられたと下見の時に伺った。  
写真4.サンカクイ(カヤツリグサ科)
湿地から槍のように突き出した1本の茎!茎の断面
は三角形。茎の先端に褐色の卵型の小穂が2~3個
つく。そこから葉のような苞が伸びるので、茎の途中
に小穂がついているように見える。
写真5.チダケサシ(ユキノシタ科)
谷戸のあちこちで淡紅色の花が満開。細長い
円錐状の花序。チチタケをこの茎にさして持
ち帰ったというが……。
  写真6.イヌゴマ(シソ科)
湿地に生える多年草。高さ数十センチになる。
淡紅色の唇形花は満開。茎の稜に下向きのト
ゲ。
写真7.オモダカ(オモダカ科オモダカ属)面高
人の顔のように見える葉が、長い柄の上にある。
葉はやじり形で二つに裂け、先が尖る。白い花が3個。
上部に雄花、下部に雌花(緑色の雌しべが集まって
球形)。
写真8.オモダカの雄花
黄色い雄しべが目立っている。
 
写真9.アゼナ(ゴマノハグサ科)
高さ10~15cmの低い草。花も小さく、ピンクの唇形。
葉には3脈がはっきり。葉は全縁。
  写真10.ガマの花穂(ガマ科)
穂綿になる前の花が見られた。上部の黄色い
雄花に葯が見える。下部の緑の部分は雌花。
 
写真11.ガマの穂
雌花にガマの穂綿ができました。
  写真12.ヤマユリ(ユリ科)
五日市駅への林道沿いにはヤマユリ、ケヤブハギが
多かった。ヤマユリは花被片が反り返る。黄色いスジ
と褐色の斑点の大輪がなんとも優雅。

2013年6月21日掲載 
観察会 植物・昆虫ウォッチング「風薫る荒川の河原・秋ヶ瀬」5月18日(土)

コース  西浦和駅………田島ヶ原………秋ヶ瀬公園………西浦和駅
田島が原ではヒキノカサの黄色い花も終わり、トダスゲなどスゲ類が穂を出し、レンリソウが咲く。
花の少ない季節だが、秋ヶ瀬でチョウジソウの咲く時期ということでこの時期を選んだ。
5月とはいえかなり日差しの強い日だったが、カッコウの声を聴きながらの木陰歩きは心地よい。
久保田利明氏の写真で当日観察した植物の一部を紹介します。

写真1.ヤセウツボ(ハマウツボ科ハマウツボ属)
秋ヶ瀬橋手前の空き地や土手にムラサキツメクサが
一面に咲く。このムラサキツメクサに寄生し、葉緑素
をもたないヤセウツボが大量に咲いていた。ヨーロッ
パ、北アフリカ原産の外来種で寄生植物。
写真2.レンリソウ(マメ科レンリソウ属) 
田島が原に紅紫の花が開花。スイートピーもこの仲間。
写真3.ニワゼキショウ(アヤメ科ニワゼキショウ属)
芝生の中にニワゼキショウが満開。北アメリカ原産
の外来種。
写真4.アフリカヒメアヤメ(アヤメ科)
白いニワゼキショウかと思ったら、中心の部分が違
う。南アフリカ原産の外来種。
写真5.スイカズラ(スイカズラ科スイカズラ属)
秋ヶ瀬の道沿いで満開。甘い香りの花。白か
ら黄色に花の色は変わるのでキンギンカとも
いわれる。半常緑性のつる性植物。葉には毛
が多く、形は切れ込んだりもして、変異が大。
  写真6.キツネアザミ(キク科キツネアザミ属)
触っても痛くないアザミ。アザミ属ではない。枝先に上向きに咲く薄紫の花。
写真7.ゴマギ(スイカズラ科ガマズミ属)
秋ヶ瀬にはハンノキとゴマギが多い。葉脈がまっすぐ
に縁まで伸び、葉を傷つけると、ゴマのような匂い。
白い花は終わり、実ができはじめた。秋には真っ赤
に熟すだろう。
写真8.ハナウド(セリ科ハナウド属)
高さ1mを超える高茎の草本は花盛り。白い花
が多数集まって小さな塊をつくり、小さな塊
が多数ついて、まるで花火のように広がる。
秋ヶ瀬公園のあちこちに白い世界が広がる。
よく見ると小さな塊の外側にある花の花弁は
大きく、先が2裂している。
 
写真9.ハナウド(セリ科ハナウド属)   写真10.チョウジソウ(キョウチクトウ科チョウジソウ属)
淡い紫の花が一面に広がる。花冠の上部が5裂
して平らに開く。下部の濃い青藍色がなんと
も言えない色合い。花の中央には毛が密生し
ていた。清楚に見えるがキョウチクトウと同
じく有毒植物。こんなに広い範囲に自生して
いるのも驚きだ。
 
写真11.マユミ(ニシキギ科ニシキギ属)
緑白色の花がクローズアップ。長い雄しべの下には
緑の丸い部分(花盤)が見える。これは蜜を分泌す
る器官らしい。花弁は4個。秋の淡紅色に熟した果実
は日野市内でもよく見かけるが、今回、花をまじまじと
見た。
  写真12.ヘラオオバコ(オオバコ科オオバコ属)
川の土手や荒れ地などでよく見かける。在来種のオ
オバコの葉は広卵型だが、これはへら状の長細い葉。地際の葉から花茎が立ち、その先の花序が写真で
くっきり。この花の白い部分、長い雄しべが飛び出し
ている。ヨーロッパ原産の外来種。

2013年4月28日掲載 
植物・昆虫ウォッチング「ミツバツツジ咲く早春の今熊山」4月13日(土)
天気にも恵まれ、ミツバツツジは満開、ヤマザクラ、モモ、ヤマナシの花などが咲きそろい、
イチリンソウ、ヤマルリソウなど多くの花にも出会えた素晴らしい一日でした。
久保田利明さん撮影の美しい画像をご覧ください。

写真1.ソメイヨシノとモモ
今熊山神社に行くまでの道はソメイヨシノと
モモが満開
写真2.クサイチゴ(バラ科キイチゴ属)
白い大きな花。キイチゴはほかにもニガイチゴ
、モミジイチゴがあった。
写真3.イチリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属)
今熊山神社への参道脇で出迎えてくれる。 
写真4.ミミガタテンナンショウ
(サトイモ科テンナンショウ属)
耳たぶのように横に張り出しがある仏炎苞。山道に背
を向けているものが多いのはなぜ?
写真5.ミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属)
山の麓を一面ピンクに染める。昨年のこの時期
、やっと咲き始めたばかりだったのに、今年は
満開。雄しべ5本を確認。
  写真6.萌え出る山の風景
萌え出たばかりの樹々、ヤマザクラが混じって麓を飾る。淡い様々な色合いにため息。
写真7.ホウチャクソウ(ユリ科チゴユリ属)
枝分かれしているのが特徴。寺院の軒先にぶら
下がる宝鐸に花が似ているのでこの名がつけら
れたとか。
写真8.シキミ(シキミ科シキミ属)
寺の境内から山の中腹のあちこちに黄白色の花
をつけていた。有毒植物。
 
写真9.アサダ(カバノキ科アサダ属)
樹皮が浅く縦にさけた幹、多数の雄花をぶら下
げた見事な姿!山の中腹から麓に多い。
  写真10.ヤマナシ(バラ科ナシ属)
ヤマナシの花は1週間前が満開だったが、寒い
日もあったので持ちこたえてくれた!
 
写真11.ヤマザクラ(バラ科サクラ属)
山の斜面あちこちで満開。花と茶色の葉が同時
に開く。
  写真12.モミ(マツ科モミ属)
下り道、大木のモミが数多く見られた。若木の
葉の先端は2つに裂ける。近くにはツガの大木
も目立つ。
 
写真13.ヨゴレネコノメ
(ユキノシタ科ネコノメソウ属)
谷に下りたあたり、一面に広がる。1週間前ま
ではエイザンスミレやカントウミヤマカタバミ
も周辺に咲き揃っていたが、もう終わっていた。
  写真14.ヤマルリソウ(ムラサキ科ルリソウ属)
下ってきた斜面に淡青紫色の群落が出現。葉や
茎には白い毛が多い。 

2012年12月24日掲載 
P.I.ウォッチング「紅葉を探して日野を歩く」12月9日(日)
コース:京王線高幡不動駅改札口……向島緑地……浅川左岸……日枝神社……川辺堀之内……梵天山……野鳥の森
公園……黒川清流公園……豊田駅
 寒さ厳しい初冬の観察会となった。紅葉はかなり終わりかけていたが、赤く熟した樹々の実がおもしろい。サク
ラタデが多かった川辺堀之内の造成工事を横目に、日野市内に残したい道、河畔、水田、清流、雑木林など
歩いた。
写真撮影は久保田利明さん。

写真1.マユミ(ニシキギ科)
高幡駅からすぐの林、向島緑地のマユミの実
が鈴なり。3週間前の下見のときより色あせ
たが、4裂した果実から真っ赤な種子が顔を
出す。コナラ、クヌギ、エノキが多い浅川の
河畔林だが、ニガキ、ズミもある。林床には
ヒガンバナも多い。
写真2.サルノコシカケの仲間?
コナラの切り株についていた。見事!名前教え
てください。
写真3.シナダレスズメガヤ(イネ科)
浅川左岸の川辺に下りる階段の隙間に根をはる要
注意外来種シナダレスズメガヤ。多摩川、浅川にも
急速に勢力拡大しつつある。 
写真4.ツルウメモドキ(ニシキギ科)
黄色に熟した果実が3つに割れ、中から赤橙色の美し
い種子がのぞいている。リースにはもってこいの素材。
写真5.ムクノキ(ニレ科)
浅川左岸の日枝神社境内。樹齢300年以上の
大樹。ムクノキ、エノキは浅川、多摩川の中流
域には多くみられる。実は小さいが、干し柿に
似た味で美味。
  写真6.ウラジロガシ(ブナ科)
天満宮の境内のウラジロガシ。葉の縁の鋭いギ
ザギザ(鋸歯)、白い葉裏、鋭く伸びた葉の先
が鮮明。隣にはシラカシもあり、比較する。用
水路を渡り、この境内に行く参道は古(いにし
え)の時代を思わせる。
写真7.イヌマキ(マキ科)
常緑針葉樹。丸い果実の基部には果床が赤紫に
熟している。この部分は甘くて食べられる。雌
雄別株。
写真8.カラスウリ(ウリ科)
日野バイパスそばの斜面を覆う石壁には大量の
カラスウリが毎年実る。見事な色どり。
 
写真9.マメヅタ(ウラボシ科)
シダの仲間。常緑。昨年、百草八幡でスダジイ
についたマメヅタを見たが、これは石壁の隙間
にとりつき壁を彩る。ノキシノブも混じる。 
  写真10.ムクロジ(ムクロジ科)
羽根突きの羽根に使う黒い玉はこのムクロジの
種子。複葉の葉は落ちて枝先に果実がぶら下が
る。蝋細工のようなあめ色の袋状の果皮をむく
と黒い種子が出てくる。あめ色の果皮はサポニ
ンを含み、洗濯に使われてきた。
 
写真11.残したい風景
シロダモやムクロジも見られるコナラの雑木林
。林床にはノハラアザミのロゼット多数。ナン
テンハギ、ワレモコウなどが咲き乱れる斜面、
畑と雑木林の織り成すこの風景は日野の貴重な
宝!
  写真12.ゴンズイ(ミツバウツギ科)
コナラが多い梵天山に落葉小高木のゴンズイ
が混じる。熟した赤い果皮がはじけて、中か
ら光沢のある黒い種子がのぞく。この時期特
有の風物だ。
 
写真13.メギ(メギ科)
葉はすべて落ち、真っ赤な長楕円形の実をたわ
わにつけた低木。実は熟してもまずいらしい。
池の向こう側、保全地区で柵があって近づけな
い。
  写真14.ミズハコベ(アワゴケ科)
用水路の中に鮮やかな緑!葉のかたちがハコ
ベに似るが、科は異なる。