P・I ウォッチングのページ(植物)
P はplant(植物)、I はInsect(昆虫)を表します。
植物は長岡総子さんが担当しています。
2012年11月12日掲載
P.I.ウォッチング「多摩川でカワラノギクと昆虫を観る」10月28日(日)
コース:JR青梅線羽村駅……多摩川……郷土博物館周辺……多摩川右岸……永田橋==福生駅
集合時間10時少し前から雨脚がつよくなった。中止にしようかと迷っていたら熱心な方々が来てくださった
ので、雨具をつけて実施。歩くうちに雨も気にならなくなり、結局予定を30分オーバーして終わった。
出会った中から写真が撮れたおもな植物だけを紹介します。
写真1.カワラノギク(キク科シオン属) Aster kantoensis 羽村大橋上流の保全地付近に咲くカワラノギク。白 色〜淡紫色の舌状花が大きい。数年前には保全地 一面に咲いていたが今はわずかになった。砂を被っ たからだろうか。分布は関東地方の多摩川、相模川 、鬼怒川の河川敷で、礫の多い河原に生育する。 |
写真2.カワラノギクの実生 |
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写真3.キササゲ(ノウゼンカズラ科キササゲ属) 郷土博物館の付近の河原に生えていた低木で実が 鈴なり。中国原産。河原など陽の当たる場所に野生 化している。多摩川のさらに上流で、以前、大きな群 落を見た。黄白色の花は6〜7月に咲く。 |
写真4.キササゲの種子 細長い果実を剥くと、種子には両端に長い毛が密生 していた。 |
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写真5.センダングサ(キク科センダングサ属) この仲間、河原ではコセンダングサが圧倒的に多く、 水辺にはアメリカセンダングサが生育する。しかしセ ンダングサはあまり見かけない。前回の平山城址公 園でも1株あったがその後、刈られたようだ。今回は 2箇所にかたまって見られた。黄色い舌状花はもう散 り掛かっていた。 |
写真6.コシオガマ(ゴマノハグサ科コシオガマ属) 羽村大橋の下をくぐって下流の方へと道を進むと下 唇の大きい淡紅紫の唇弁花が咲いていた。道の両 側に数株ほど。半寄生の1年草。 |
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写真7.スズサイコ(ガガイモ科カモメヅル属) 細い葉は黄色く枯れかかっていたが大きな実がたれ ていた。 |
写真8.ナンテンハギ(別名フタバハギ マメ科ソラマメ属) 南天萩。小葉がナンテンに似る(?)ことから付いた 名。花期は6〜10月と長く、紅紫の花がまだ咲いてい た。カラスノエンドウと同属だが、小葉は2個。土手沿 いにかなり多く、実をつけたツリガネニンジン、ワレモ コウなどが混じる。 |
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写真9.ヒトツバハギ(トウダイグサ科ヒトツバハギ属) 四方に枝を伸ばした低木。葉に鋸歯はない。実はつ いていなかった、雄株だろうか。 |
写真10.永田実験地のカワラノギク満開 福生の永田橋上流に作られた実験地のカワラノギク。 道際の群落はツルヨシの勢力に押されそうだったが、 雨の中、しっかりと咲き誇っていた。実験地なので奥 までは入れない。 |
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写真11.水辺近くに広がったカワラノギク 後日の植生調査で、水際に近い礫河原にカワラノギク やマルバヤハズソウが一面に広がっていたのを確認 した。 |
2012年10月13日掲載
P.I.ウォッチング「初秋の平山城址公園から谷戸の田んぼ」9月29日(土)
平山城址公園駅……宗印寺……平山城址公園……昨年拡張された東園……宮嶽谷戸
日中、30℃を越える暑さだったが、季節は秋。草や木の実が楽しい季節になっていた。写真は宗印寺から平山城址公園で
撮影された。撮影(1〜13):久保田利明 (14):長岡総子
写真1.キリ(ゴマノハグサ科) 来年初夏に咲く茶褐色の毛で被われた花芽と 今年の果実が鈴なり。 |
写真2.タラヨウ(モチノキ科) 宗印寺入り口で実をたわわにつける。熟せば赤く なるがまだ青い。葉裏を細い棒で引っかくと黒く変 色するので葉書に使われてきたので葉書の木とも いう。これは雌雄別株。 |
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写真3.ボダイジュ(シナノキ科) プロペラに似た総苞の下に数個の茶褐色の実が ぶらさがる。総苞とともに落下した果実が地面に いくつかころがっていた。 |
写真4.ツマグロヒョウモン 境内のコスモス咲き乱れる庭。 |
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写真5.ヤブツルアズキ(マメ科) 花をよくみると、ねじれてくるりと上向きになって いる部分がある。虫との関係を観察したかった。 豆果をむくとアズキそっくりの種子。アズキはこれ を改良したらしい。 |
写真6.シラヤマギク(キク科) 葉の基部がハート型をするが、7~80cm近く伸び、どれも斜めに倒れ掛かっていた。茎の上部につく葉は小さく、葉の数も少ない。 |
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写真7.ミズヒキ(タデ科) 花被片の上部は赤く、下部は白いため、細い 花序を上から見ると赤く、下から見ると白く見え る。名前の由来でまる。 |
写真8.キンミズヒキ(タデ科) ミズヒキ(バラ科)に細い花序が似ているのでつけられた名前。だが、これはバラ科。果実はトゲで動物に付着し散布される。 |
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写真9.ヌスビトハギ(マメ科) 果実は表面に密生したかぎ状の毛で動物に付 着し散布される。 |
写真10.ホタルガ(マダラガ科) 白い帯が印象的。ヒヨドリバナ(キク科)に吸蜜 |
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写真11.カラスウリの実(ウリ科) 赤く色づくのは晩秋か? |
写真12.ガマズミ(スイカズラ科) 平山城址公園内ではすでに赤く熟し、野鳥の訪れを 待つ。 |
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写真13.タマゴタケ | 写真14.キバナアキギリ(シソ科) 平山城址公園の東園(昨年つくられた)の日陰に咲く。 葉の基部はほこ型に張り出す。 |
2012年5月19日掲載 P.I.ウォッチング「ムカシトンボと植物」5月12日
前回の今熊山が雨天中止になり、今年はじめての観察会。イチリンソウやタカオスミレなど春の花々は終わり、
渓谷はアブラチャン、ケヤキ、フサザクラ、コクサギ、チドリノキなどの緑で染まっていた。途中、日影沢入り口の
オオバアサガラは花序を垂らしていたがまだ蕾。フタバアオイ、ナツトウダイ、ウワバミソウ、ツルカノコソウなど
の地味な花が咲く。圧巻は着生ランとムカシトンボ飛ぶ姿。
写真1.ガクウツギ(ユキノシタ科) 別名コンテリギ、葉は少々紺色っぽい。今が丁度花 盛り、白さがひときわ目立つ装飾花は3個のうち1個が 大きい。 |
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写真2.オドリコソウ(シソ科) 踊り子の姿に似た花は少々、踊り疲れたかのよう、 盛りを過ぎていた。日影沢までの小仏川沿いに群生 する。 |
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写真3、4.ラショウモンカズラ(シソ科) 小仏川沿いの花は終わりかけていたが、日影沢の奥に行くと、鮮やかな紫の花が目立つ。突き出した下唇の部分の斑点、 長い毛が目立つ。 |
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写真5.ウラシマソウ(サトイモ科) 浦島太郎の釣り糸に見立てたという付属体、触ると 意外に弾力性がある。 |
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写真6.ツボスミレ(スミレ科) 別名ニョイスミレ。如意の語源になったのは葉のか たちが仏具に似るからとか。ブーメラン状の葉も混ざ る。マルバスミレ、ナガバノスミレサイシン、タカオスミ レなどスミレ類はみな咲き終わったあと、これだけが 小さな白い花をつけていた。 |
2012年4月19日掲載 P.I.ウォッチング「ミツバツツジ咲く今熊山」4月14日
生憎の朝からの雨、残念でしたが中止にしました。1週間前の4月8日には、まったく咲い
ていなかったミツバツツジの様子だけでも見に行こうと雨の中、神社まで歩きました。
ヤマザクラ咲き、ミツバツツジは満開!4月8日に撮った写真とともに載せます。
写真1. ミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属)(4.14) 葉が開く前に紅紫の花を枝先に2〜3個つける。 雄しべは5個、葉は枝先に3個輪生。 |
写真2. 斜面を彩るミツバツツジ(4.14) |
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写真3. 4月8日のミツバツツジ 色づいた蕾はほんの僅かだった。その後の気 温の上昇で1週間後に満開になる。 |
写真4.(4.8) アサダ(カバノキ科アサダ属) 樹皮が浅く縦に裂ける、芽吹きはまだ先。 こんなにアサダの個体が多い場所も珍しい。 |
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写真5. ヤマルリソウ(ムラサキ科ルリソウ属) 落ち葉の中から顔を出す。今熊山からの 下山路。(4.8) |
写真6. ヨゴレネコノメ(ユキノシタ科ネコノメソウ属) 葯は暗紅色。イワボタンの変種で谷筋に多い。 (4.14) |
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写真7. ナガバノスミレサイシン(スミレ科スミレ属) 変電所への下山路の途中、あちこちに咲く。 丸っこい距が可愛い。 |
写真8.刈寄山付近の砕石場 会報4月号の『40周年に当って』(矢島 稔) に書かれていた刈寄山。 今の姿はまさに石切り山。山は低いが、秩父の 武甲山と変わらぬ姿。 |
2012年3月18日掲載 春の便り
写真1.マンサク(マンサク科) 3月1日 百草園内の植栽樹。花弁が4個、紐のようにな っているのがおもしろい。名前の由来は「まんず 咲く」とか「満作」とか。 |
写真2.ウメ(バラ科) レンキュウ 3月1日 今年のウメはとにかく遅い。百草園内の紅梅系 園芸品種「レンキュウ」は3分咲きか。 園芸品種「オモイノママ」は硬い蕾のままだった。 |
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写真3.ウメ(バラ科) 3月1日 百草園近くのウメ林では野梅系だろうか、白梅 が5分咲き。 |
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写真4.オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科) 3月11日 3月になっても寒い日が続く中、陽光の降り注い だ日、浅川の多摩川合流付近の土手下でオオ イヌノフグリが花びらを大きく開いていた。大きな 群落があちこちで咲き揃う。花弁は4裂、上部中 央の部分がもっとも濃い瑠璃色。雄しべ2本。 葉は茎の上部で互生、下部で対生。ユーラシア ・アフリカ系の外来種。 |
写真5.同左 | |
写真6.ヒメオドリコソウ(シソ科) 3月11日 唇形の花。下唇の中央部が2裂しているのがわ かる。ハナバチ類の足場になっているらしい。 葉は十字対生、上部の葉は赤紫色を帯びる。 オオイヌノフグリやホトケノザなどとと混生。 ヨーロッパ原産の外来種。 |
写真7.オニグルミ(クルミ科) 浅川の水辺のオニグルミはまだまだ冬芽のまま。羊の顔に見える葉痕がおもしろい。 |