P・I ウォッチングのページ(植物)
P はplant(植物)、I はInsect(昆虫)を表します。
植物は長岡総子さんが担当しています。
2011年7月23日掲載
ミニ観察会 P.I.ウォッチングG 「夏を迎える里山」−続編―
7月9日の観察会当日には撮影できなかった花々を後日、7月22日に撮影しました。
学名を見ると、また新たな発見!
写真1. ミソハギ(ミソハギ科ミソハギ属)Lythrum anceps 漢字では禊萩。盆花として供えられる。これは植栽、 6月下旬から咲いていた。 属名は Lytron(血)から。この属の花は血のように紅い ためとか。葉は十字対生で披針形。 |
写真2. ヤブカンゾウ(ユリ科ワスレグサ属)Hemerokallis fulva var. kwanzo 春先、若葉は甘く美味しい。花は強烈なオレンジ色の八重咲きで夏を謳歌しているよう。ニッコウキスゲで知られるゼンテイカと同じ属(ヘメロカリス)。 |
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写真3. アキノタムラソウ(シソ科アキギリ属)Salvia japonica 山野の道端、林縁に咲く。花冠には毛が多い。 葉は羽状複葉。属名の“サルビア”は園芸品でもおなじみ。 |
写真4. ダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属)Geum japonicum 名前の由来:根生葉がダイコンの葉に似るから。春先には大きな葉をいっぱい広げていたのに花は小さくかわいらしい。属名はgeuo(美しい)から。 |
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写真5. イチョウウキゴケ(ウキゴケ科)Ricciocarpus natans コケの仲間で浮遊植物。水田の水面に浮いている。 葉状体はわずかに二叉状に分かれ、中央部がやや窪み、 イチョウの葉の形に似る。裏面には紫色の鱗片が多数つく。 イネの株の周りを取り囲むと、縁飾りのよう。 |
写真6−7. ニガクサ(シソ科ニガクサ属)Teucrium japonicum 葉は鋸歯が粗くはっきり。唇形花の中央裂片が大きい。外に突き出しているのは雄しべ。虫が花粉を運びやすいようにしているのか?一口に唇形花といってもいろいろあっておもしろい。 |
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写真7.ニガクサ | 写真8. オオバギボウシ(ユリ科ギボウシ属)Hosta montana 林内には花をつけないものも多いが、これは林縁に咲い た立派な花。思わずアップに。漢字で書くと大葉擬宝珠。 擬宝珠とは橋の欄干につける飾り。蕾の形が似ているとか。 |
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写真9. ヤマユリ(ユリ科ユリ属)Lilium auratum 観察会当日には蕾だったが、やっと咲いた。花の重さで 茎は地面すれすれに横たわるものも。花糸の先のT字形 の葯が揺れる。甘い香りは虫を誘い、花粉はどこからで もつきやすい。 |
2011年7月18日掲載
ミニ観察会 P.I.ウォッチングG 「夏を迎える里山」<7月9日(土)>
梅雨明けの日。気温33度を超える暑さだが、皆元気。程久保から、中央大フェンスに沿うむかし道から
八王子市堀之内の里山公園に出る。コナラ林の木かげ、キイトトンボなど飛び交う谷戸の田んぼで、
多くの生き物、涼風に出会い顔ほころぶ。今春できたばかりの宮嶽谷戸奥の公園から展望台に上り、
東京薬科大学のバス停に下りる。
以下の写真のほかに、エゴノキ、ナツハゼの実、ノアザミ、ヤブカンゾウ、オカトラノオ、
オオバギボウシ、オオバノトンボソウなどの花々。ヤマユリはまだ蕾。谷戸の水田にはイチョウウキゴケ、
アゼナ、コナギ、オモダカもみられた。
写真1.ムクロジの花と果実 (ムクロジ科ムクロジ属) 黄色の小花が満開、花と昨年の果実が駐車場のアスファルトを飾る。「若い果実ができるのは日当たりのよい株からですね」、と管理人の方の説明。あめ色の果皮が特徴。核は羽根つきの玉に使われた。 |
写真2.ムクロジの大木 | |
写真3.ムクロジの枝と花序 葉は偶数羽状複葉。互生。 |
写真4.ホタルブクロ(キキョウ科) 萼片の一部が反り返っている。 |
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写真5.ヤマホタルブクロ(キキョウ科) 萼片の湾入部に反り返った部分が無く、盛り上がる。 |
写真6.ヤブデマリ(スイカズラ科) 5月に純白の飾り花をつけていたが、もう、実が赤く 色づき始めた。 |
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写真7.ヤブレガサ(キク科ヤブレガサ属) 程久保のコナラ林内に大きな株がいくつも。花は地味。 |
写真8.ヤブレガサ(キク科ヤブレガサ属) | |
写真9.チダケサシ(ユキノシタ科チダケサシ属) コナラ林内にピンクの花を飾る。 |
写真10.アカシデの果穂(カバノキ科クマシデ属) | |
写真11.クマシデの果穂 | 写真12.ニガキの若い果実(ニガキ科ニガキ属) 噛めば超苦い。葉は奇数羽状複葉、まだ青いが、 熟せば緑黒色。宮嶽谷戸の谷筋。 |
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写真13.イヌガンソク(イワデンダ科) 雁の足形に似るとか。程久保の薄暗いスギ・ヒノキ林 の林縁にどっしりと。 |
2011年6月28日掲載
初夏の河原
多摩川の浅川との合流点付近で、6月中頃から礫河原に特有の在来種、カワラサイコ、カワラニガナが開花し出した。一方、
園芸植物が野生化した外来種が河原を一部、黄色く染めていて、気にかかる。
在来種 1.カワラサイコ1 Potentilla chinensis (バラ科キジムシロ属) |
在来種 2.カワラサイコ2 副萼片は萼片より幅がせまい |
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在来種 3.カワラニガナ Ixeris tamagawaensis (キク科ニガナ属) 学名が示すように、もともと多摩川に多いが今は少ない葉は 線形。 |
外来種 4.ビロードモウズイカ Verbascum thapsus (ゴマノハグサ科モウズイカ属) 茎や葉に毛が密生 ヨーロッパ原産 |
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外来種 5.ハルシャギク Coreopsis tinctoria (キク科ハルシャギク属) 北アメリカ原産一年生草本 園芸植物から逸出し、特に近年河原に拡大し、6月末、四谷 橋付近の河原は一部、黄色の野原となる。 |
外来種 6.オオキンケイギク Coreopsis lanceolata (キク科ハルシャギク属) 北アメリカ原産の多年生草本 特定外来生物に指定されていて許可なしに栽培はできない。しかし、高速道路ののり面には今だあちこちで見られる。 |
5月14日掲載
P.I.ウォッチングF 『ムカシトンボと植物』2011年5月7日(土)JR高尾駅〜小仏川沿いの道〜日影沢
渓谷や沢沿いでは多くの植物に会える。オドリコソウ、タカオスミレ、カントウミヤマカタバミ、トウゴクサバノオなど春植物の花は終わり、
春早く黄色い花をつけたアブラチャンにはもう実ができ始めた。ケヤキ、フサザクラ、チドリノキなどの緑が小雨の中で冴える。
ヒメウツギやミツバウツギ、クサイチゴの白い花、ラショウモンカズラの紫の花が目立つ。エイザンスミレやナガバノスミレサイシンは花後、
葉を大きく成長させ始めた。渓流の岩では大きな株状のナルコスゲが小穂を垂れ、まるで谷地坊主のよう。
日影沢はいつの季節も素晴らしい。ウッディハウスで出会ったヤママユガの仲間エゾヨツメ(蛾)、館長さんの写真とお話しなど話題満載
の1日だった。
写真1:ニリンソウ(キンポウゲ科) 白い花弁に見える5枚のガク片は落ちはじめ、実ができ始めた。早春季植物で夏には姿を消す。 |
写真2:クサイチゴ(バラ科) 今、花盛り。上向きに咲く大きな花。 |
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写真3:ラショウモンカズラ(シソ科) 羅生門で切られた鬼の腕に似る花とは気の毒な名前。花後、水平に地表を這って伸びる茎(走出枝)を出し、先端の芽から子株を作って殖える。葉や茎には毛が多い。 |
写真4:イチリンソウ(キンポウゲ科) 大きな花を一輪、しっかりと正面に向けて咲いていた。ニリンソウと違い総苞葉に柄がある。 |
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写真5:カテンソウ(イラクサ科) 雄花。雄しべは5個。陰湿な木陰などに多い。 |
写真6:マルバスミレ(スミレ科) まだ咲き残っていた。 |
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写真7:ツルカノコソウ(オミナエシ科) 花は白く小さい。花後、走出枝を伸ばし殖える。 |
写真8:コチャルメルソウ(ユキノシタ科) 5枚の花弁は羽状に裂け、魚の骨状だが、もうチャルメラのような果実になり始めた。谷沿いの湿ったところを好む。 |
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写真9:ジロボウエンゴサク(ケシ科) 小仏川の川沿いに多い。花の長い距が特徴的。 |
写真10:ミヤマハコベ(ナデシコ科) 日影沢の沢沿い。花弁5枚が深く切れ込んで10枚のように見えるのが特徴。 |
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4月2日掲載(3月28日掲載の追加)
『早春の植物と虫たち』―2011年3月26日(土)―片倉城跡公園〜臺谷戸〜八王子みなみ野駅
片倉城跡公園写真追加 2011.4.1.
観察会の6日後、ようやく北斜面のあちこちにカタクリが花開き、春めきました。
写真1:アズマイチゲ | 写真2:カタクリの花弁反り返る | |
写真3:アブラチャン(クスノキ科クロモジ属) | 写真4:まだ展葉しないコナラークヌギ林の林冠から陽光が降り注ぐ白いのはコブシ | |
写真5:キブシ(キブシ科キブシ属) | 写真6:ヤマルリソウ(ムラサキ科ルリソウ属) | |
写真7:ナガバシュロソウ(ユリ科シュロソウ属) 根元にシュロ状の毛が見える |
写真8:オオツクバネガシ(ブナ科コナラ属) ツクバネガシとアカガシの雑種 |
3月28日掲載
『早春の植物と虫たち』―2011年3月26日(土)―片倉城跡公園〜臺谷戸〜八王子みなみ野駅
東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
北風の強い寒い一日、片倉城跡公園北斜面のカタクリは10数個体が開花。昨年の同じ日には、ほぼ満開でしたのでかなり遅い状況です。
アズマイチゲ、ニリンソウ、シュンラン、ヤマルリソウ、タマノカンアオイの花が少し咲き、ヤマブキソウ、キツネノカミソリの葉の緑が目立ちました。
木本ではアブラチャンの黄色い花、キブシのカンザシのような花序が見られました。「春の小川」の歌の雰囲気残る臺谷戸では、ウグイスカグラ、
タネツケバナ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、キチジョウソウの実など確認し、付近の生垣で川島先生からヒメカナワラビを教えていただきました。
写真1:カタクリの花(ユリ科カタクリ属) 落葉樹が芽吹く前に開花 開花まで7〜8年、葉は2枚になって開花。 |
写真2:カタクリ蕾 | |
写真3:アズマイチゲ(キンポウゲ科イチリンソウ属) 花びらに見えるのはガク片 |
写真4:シュンラン(ラン科シュンラン属) 黄緑のガク片は見えるが、これはまだ蕾。白く赤紫の斑点のある唇弁は見えない。 |
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写真5:ヒメカナワラビ(オシダ科イノデ属) これもイノデの仲間とは! |
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