植物ウォッチングのページ    

植物は長岡総子さんが担当しています。


2015年5月10日掲載 
植物・昆虫ウォッチング第33回「スミレ・虫・南アルプス眺望―長坂の春」《北杜市》
日 時:2015年4月10日(金)
集 合:JR中央線長坂駅改札口 10時30分 
コース:長坂駅―オオムラサキ自然観察歩道―長坂駅  
モモの花が車窓一面に広がり、雪深い北岳、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳など南アルプスの山々、そして富士山が迎えてくれた。
長坂駅から満開のサクラの下を進み、オオムラサキ自然観察歩道で多くのスミレ類など春の花々を、予想されていた雨に
会うことも無く楽しめた(写真は下見のときに撮影)。

1. イブキスミレ(スミレ科)
Viola mirabilis var. subglabra
葉は円く、葉脈が目立つ。花は淡い紫から白。
斜面上部から下部にかけて咲く。
2. ヒメニラ(ネギ科) 
Allium monanthum
ニラに似た臭い。花茎の先に花が一つ。
3.ゲンジスミレ(スミレ科)
Viola variegate var. nipponica
葉は卵円形で裏が紫。花は淡い紅色。
ひっそりと咲く。
4. ヒナスミレ(スミレ科)
Viola tokubuchiana var. takedana
葉の基部が深い心形で粗い鋸歯。花は淡紅色。
1週間前の下見では満開だったが、花は大部分
終わっていた。
5. アカネスミレ(スミレ科)
Viola phalacrocarpa
濃い紅紫の花。側弁の基部に白毛密生。
葉や茎にも毛が多い。
  6. ヤマエンゴサク(ケシ科)
Corydalis lineariloba
葉は複葉。小葉は円形から披針形など変化が
大。花は青紫。
7. アズマイチゲ(キンポウゲ科)
Anemone raddeana
茎に付く葉は3個輪生。花は1個が茎の先に付く。
白い花びらのように見えるのは萼。花はこの日、
閉じていた。

2015年4月13日掲載 
植物・昆虫ウォッチング第32回「春の日野歩き」《日野市》
日 時:2015年3月29日(日)
集 合:JR中央線日野駅改札口 9時30分 解 散:JR中央線豊田駅 14時ころ

コース:日野駅―宝泉寺―神明社―谷仲山緑地―神明上緑地―野鳥の森公園―黒川清流公園―豊田駅
 前日から最高気温は20℃を超え、東京のサクラは「満開宣言」。散り始めたコブシの花や咲き揃い
だしたソメイヨシノの下、日野駅から日野台地の崖線に沿って豊田まで歩いた。

1.カタクリ(ユリ科)
日野台地の北から東斜面の崖下に多い。
コナラやクヌギなどの落葉樹が開葉する前に開花、
4〜5週間で地上から姿を消す春植物。3年ぐらい
の1枚葉がところせましと広がる。開花まで最低
7〜8年。
2.アブラチャン(クスノキ科)
渓谷など水辺に多い樹木。崖下の湧水、浸出水などの
ある神明神社や黒川公園で満開。雌雄別株で雄花より雌花の方が小さい。
3、アズマイチゲ(キンポウゲ科)
日当たりのよい崖下に咲いていた。直径4センチほ
どの大きめの花。白い花弁に見えるのは、実は萼片
で8〜13個。茎に付く葉は3枚が輪生。
イチリンソウ属(Anemone)
4.ヤマナラシ(ヤナギ科)
段丘崖の斜面に数本。幹にそろばん玉のような皮目。
雌花序が尾状に垂れていた。丁度コゲラが訪れ、幹を
たたく。ヤマナラシ属(Populus)
5.ヒメウズ(キンポウゲ科)
直径5mmほどの小さな花。外側の薄紅がかった
白い花弁に見えるのは萼片、本当の花弁は黄色
く、雄しべと雌しべを包んでいた。
  6.ヤドリギ(ビャクダン科)
満開のソメイヨシノにグリーンボールのように
つくヤドリギ。2月にはヒレンジャクも訪れる。
崖上には30個以上のヤドリギがつくケヤキも
ある。
7.ジュウガツザクラ(バラ科)
マメザクラとエドヒガンの雑種。10月頃から春まで咲く
八重咲きの花。春の方がよく咲くらしいが、まさに。
満開。清水池の畔、向かい側のほぼ満開のソメイヨシ
ノの大木より華やかに感じた。
8.トガリアミガサダケ(アミガサダケ科)
ほぼ黒に近い黒褐色の網目状の大きな傘が林床
であちこちに顔を出す。臭い強く、柄はエリン
ギより太い。

2014年12月21日掲載 
植物・昆虫ウォッチング第30回「秋の小下沢を歩く――植物・昆虫観察」《八王子市》
日 時:2014年11月16日(日)
集 合:中央線高尾駅北口 9時15分 解 散:日影沢バス停14:43

コース:高尾駅北口=バス停大下(おおしも)―小下沢沿い―日影沢―日影バス停=高尾駅
朝から抜けるような青空。八王子いちょう祭りとも重なり、尾駅北口はかなり混雑していた。小下沢林道を歩き始めると、
種子がはじけた後のゲンノショウコ、ノブキの花と実のつくりなどを観察。5月の観察会でサカハチチョウが舞っていたミツバ
ウツギの白い花はどこか蝶にも似た妙な形の実になっていた。早春に花をみたフサザクラの鈴なりの実など、季節とともに
変わる生き物たちの姿を楽しだ。

1. ノブキ(キク科)
中心部に両性花、まわりを雌花が囲む。雌花だけが
結実し、緑の若い実ができ始めている。
2.ノブキの実
放射状に並ぶ緑の厚ぼったい花びらのようなのが若い
果実。実の先端部には粘液を出す腺体が針のように突
き出ていて、ひっつく原因になる!
3.ノブキ全景
まだ葉が少々残っていた。
4.ツルニンジン(キキョウ科)
大きな実。熟すと上部から裂開。種子には大きな翼が
あった(バアソブの種子には翼はなし)
5.カラスノゴマの実(シナノキ科→アオイ
科)果実は縦に裂ける。中は段ボールのよう
な凹凸の部屋!種子の表面にも鱗状の凹凸

  6.ハグロソウ(キツネノマゴ科)
花が終わると、これがハグロソウ?と思う。
ツユクサのような大きめの苞の中に実が覗く。
7.ハグロソウの実
バイオリンかウクレレのような形の果実。それを縦に
裂くと小さな種子が飛び出る。
8.ミヤマフユイチゴ(バラ科)
真っ赤な果実。甘酸っぱいが美味。葉の先がと
がるのが特徴。フユイチゴの方は葉の先が丸い

 
9.キンミズヒキ(バラ科)
黄色の花は終わり、実は熟すと下を向き、動物や人が
くるのをじっと待ち受け、ひっつく。赤く染まった葉も美し
い。
  10.シラネセンキュウ(セリ科)
花と実が同居。葉は3回〜4回3出羽状複葉。小葉の鋸
歯(きょし)が細かい。ヤマゼリ、カノツメソウと見間違え
やすい。
 
11.サラシナショウマ(キンポウゲ科)
白いブラシ状の花は終わり、実が鈴なりに。よく見る
と1個の果実の付け根には長さ数ミリの柄がある(イ
ヌショウマにはない)。先端には花柱も残る。
  12.ヤマルリソウ(ムラサキ科)
冬越しのための、おばけのように大きな葉のロゼット。
崩れ易い斜面の上から下に大きな株が多数連続!
 
13.ミツバウツギの実(ミツバウツギ科)
写真を撮りそこねたため10日後に再度訪れた。緑色だ
った実がもう、刈れる寸前で茶褐色になっていた。
 

植物・昆虫ウォッチングのお誘い
 『平山城址公園から由木の里−秋の里山での植物・昆虫観察』  《日野市・八王子市》

日 時:2014年10月19日(日)
集 合:京王線平山城址公園駅  解 散:バス停(帝京大中高北)
コース:平山城址公園駅―宗印寺―平山城址公園―東京薬科大学正門―日枝神社―堀之内寺沢里山公園
―バス停(帝京大中高北)
ユウガギク、カシワバハグマ、コウヤボウキ、ネコハギなどの花が見られ、クサギ、カラスウリ、ヤブツルアズキなど
草木の実の観察も興味深い。

1.タラヨウ(モチノキ科)
実はまだ青かったものの鈴なり。赤く熟すのは
11月か。葉は厚く、裏に文字を書いてハガキに
使える。寺院に植えられていることが多く、文字
が書かれている葉が多いが、宗印寺では少な
かった。雌雄別株。
2.ボダイジュ(シナノキ科)
宗印寺の境内。果実に舟のような葉(総苞葉)が
ついていて、種子散布のときの翼となる。
3.掃き清められた境内の庭、敷き詰められた
砂利の上に落ちていた実。
4.ヌルデ(ウルシ科)
大きな実がなっている?これはヌルデの葉軸
にできた袋状の虫えい。ヌルデミミフシという。
作ったのはヌルデシロアブラムシ!これを加熱、
乾燥したものを五倍子といい、染料に使用した。
5.センニンソウ(キンポウゲ科)
9月に咲いていた白い花が終わり、果実
になる。伸びた花柱は曲がりくねって、
一部に毛ができ始めた。まだもじゃも
じゃの仙人のひげのようにまでは伸び
ていない。

  6.テイカカズラ(キョウチクトウ科) 
常緑のつる植物。地を這うテイカカズラ
が木によじ登り、開花、結実。細いマメ
のような実を開けると中に冠毛を付けた
種子。風で遠くまで…。
7.カニクサ(フサシダ科)
つる状に伸びる、伸びる!地上部は1枚の葉。
胞子が付いている葉と付いていない葉の違い
が遠目にもはっきり。
8.胞子のう(ソーラス)が葉のふちに
ついている。

2014年10月2日掲載 
植物・昆虫ウォッチング第25回「初秋の寺家ふるさと村で植物・昆虫を観る」《横浜市》
日 時:2014年9月21日(日)晴れ 集 合:小田急線 柿生駅北口改札口 9時30分

コース:柿生駅==早野下車――寺家ふるさと村――早野==柿生駅
当日朝、線路故障で小田急線新百合ヶ丘駅から町田駅間が不通となったが、集合時間の少し前に
開通し、無事に集合。早野のバス停を下り、鶴見川沿いに少し下り、寺家へとむかう。谷戸の稲刈り
は進み、天日干しの風景、チョウジタデやヒメクグなどの水田雑草、マメ科の花をはじめとする秋の
花々、シラヤマギクの中を舞うミドリヒョウモンやヒメジャノメなどを観察した。

1. クズ(マメ科) 
秋の七草の一つ。根から澱粉、葛粉をつくる。紅紫色の鮮やかな花は成長の早く、崖を被う強靭な葉や茎とはうって変わって高貴な装い。
2.ヤマホトトギス(ユリ科) 
花被片が反り返るところがヤマジノホトトギスとのちがい。雑木林の中で色を添えていた。
3.センニンソウ(キンポウゲ科) 
つる植物。数個の雄しべ、花弁のように見える4枚のガク片からなる真っ白い花。花弁なし。花後に伸びた、長毛のある花柱が仙人のヒゲのように見えるとか。
4.ミズタマソウ(アカバナ科) 
雑木林の暗い林内に生える地味な植物。白い花が終わり、カギ状の毛が密生した果実多数。
露が光ると水玉のように見えるという。
5.トネアザミ(キク科)
タイアザミともいい関東地方に多い。総苞片が反り返り、横向きか斜め下向きに咲く。学名はCirsium tonense。利根薊。

  6.コナギ(ミズアオイ科) 
実ったイネの間にびっしりと丸っぽいハート型のような葉。葉の間から紫の花が顔を出していた。1年草。
7.キバナアキギリ(シソ科) 
谷戸最奥の湿性の地に咲き乱れていた。葉の基部がほこ形に張り出している。学名はSalvia nipponica。園芸植物のサルビアはこの仲間。
8.キツリフネ(ツリフネソウ科) 
谷戸奥の湿地にツリフネソウとともに咲いていた。葉は長楕円形で先端はとがらず丸みを帯びる。細い花柄で花を吊り下げている。
 
9.ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
葉は菱状楕円形で先端はとがる。袋状の花の外側上部に「蝶ネクタイがある!」と参加者の言。まるで襟を付けているよう。
  10.ノササゲ(マメ科)
つる植物。花は黄色、実は紫色になり、美しい。葉は3小葉で裏白。
 
11.ツルマメ(マメ科)
名の通りつる植物。葉は披針形で細めの3枚の小葉。花も小さく目立たないが、よく見ると淡紫色の可憐な花。崖の斜面にヤブマメと絡み合いながら生きている。ダイズの原種らしい。
  12.フジカンゾウ(マメ科)
ヌスビトハギ属で唯一5〜7枚の小葉からなるので見分けがつく。谷戸奥の湿地に群れて咲いていた。節果は1〜2個。ヌスビトハギも雑木林の入り口付近に多かった。
   
13.アレチヌスビトハギ(マメ科)
ヌスビトハギ属の仲間だが北アメリカ原産の外来種。茎は毛だらけ、ヌスビトハギは盗人の忍び足の跡にたとえられる2個の節果からなるが、これは5〜6個の節果で、くびれも浅い。
花の色はヌスビトハギより濃い。田んぼ脇、路傍に多かった。 
  14.アキカラマツ(キンポウゲ科)
カラマツソウの仲間。日当たりのよい斜面に刈られずに残っていた。1mを超える背丈の高い草本。淡黄白色の花が円錐状に多数つく。 

2014年5月11日掲載 
観察会 植物・昆虫ウォッチング第24回
「石砂山(いしざれやま)で春の女神ギフチョウ と早春の植物を観る」《相模原市》
2014年4月5日(土)

コース:中央線藤野駅(バス8:00発)=やまなみ温泉下車、東野行きバス乗車==菅井下で
     下車―石砂山―篠原― 藤野駅
ギフチョウの生息地を訪れた。葉が展開する前、春の陽を浴びて咲く樹の花、スミレやシュンラン、ギフチョウ
の幼虫の食草であるカンアオイがあちこちにみられた。下見の3月31は暖かい日で、ギフチョウが現れたが、
当日は大変寒い冬のような日でギフチョウには会えなかった。

写真1.アブラチャン(クスノキ科)
花のない時期、黄色い小さな花が谷沿いであち
こちに咲く。
写真2.ヒトリシズカ(センリョウ科) 
ガラガラの斜面に咲くヒトリシズカ。白い糸状のもの
は雄しべで花弁、萼無し。
写真3.キブシ(キブシ科)
かんざしのように垂れ下がる花。雌雄別株。短く
淡黄緑色の花は雌花序。
写真4.タチツボスミレ(スミレ科)
春早く他のスミレに先駆けて咲く可憐な淡紫の花。
托葉が櫛の歯状。
写真5.ダンコウバイ(クスノキ科)
尾根に上がると現れた。アブラチャンより
少し大きく色も濃い黄色の花。3裂する葉
はまだ開かない。
  写真6.シュンラン(ラン科)
斜面のあちこちで下を向いて咲いていた。
覗くと白い唇弁には赤紫の斑点。
写真7.フサザクラ(フサザクラ科)
渓谷の代表的な樹。満開の花が谷を埋める。
赤いのは雄しべの葯。花弁も萼も無い花。
写真8.カンアオイ(ウマノスズクサ科)
別名カントウカンアオイ。ギフチョウの
産卵場所、幼虫の食草。
 
写真9.カンアオイの花
地際に咲く紫褐色の花。種子散布はアリ。
  写真10.ギフチョウ
3月31日の下見の時。山頂(578m)で3個体
くらいが舞っていた。