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本ページは七生丘陵調査団・川島さんの投稿「日野の植物」(特にシダ植物)に
ついて特集しています。


2018年5月23日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
5月ともなり、新緑が美しい季節となりました。シダも新しい葉を広げ、目にすることも多く
なってきます。これから何回かに渡って、市内で目にすることのできるシダ類をご紹介します。
今回の画像は、すべて百草で撮影しました。
2018.04撮影

     
△ (1) ゼンマイ
山菜として誰もが知ってるシダですが、成長
するとこんなに大きくなります。 市内の各所
で、斜面の下部や流れの脇など比較的湿った
場所を好みます。画像の中央部には胞子葉の
枯れたものが見えます。ゼンマイの根は、かつ
てはオスマンダ根と呼んで蘭(洋ラン)などの
植え込み材料に使われました。
2018.04 南平
  △ (2) ミゾシダ
市内各所の林下や林縁などで普通に見られる
シダで、冬は葉が枯れます。押し葉標本にする
と黒っぽく変色しやすいです。
2018.04 南平
        
   
△ (3) オオクマワラビ
林下や林縁などで見られます。クマワラビに似
ていますが、軸の鱗片はクマワラビより濃い黒
褐色、胞子嚢群は葉の裏面全面につき、先端
部だけにつけるクマワラビとは区別できます。
クマワラビとの雑種が知られてます。
2018.04 百草
  △ (4) ヤブソテツ
変異の多いシダで、葉の広さや光沢は様々です。
変種のヤマヤブソテツも市内で見られますが、
ヤブソテツとの中間形も見られ、区別に困ること
もしばしばです。
2018.04 百草
         
     
△ (5) ハリガネワラビ
林下や林縁などでよく目にします。最下羽片
1対は、上方に跳ね上がったように見えます。
葉には全体的に細かい毛が見られます。
和名は、針金のように細い華奢な感じのシダ
の意味でしょうか。
2018.04 百草 
 

2018年5月5日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
5月ともなり、新緑が美しい季節となりました。シダも新しい葉を広げ、目にすることも多く
なってきます。これから何回かに渡って、市内で目にすることのできるシダ類をご紹介します。
今回の画像は、すべて百草で撮影しました。
2018.04撮影

     
△ (1) ベニシダ
丘陵地の山裾や林下などでよく見られるシダ
で、市内でも多くの場所で目にします。葉は光
沢があり、比較的おおきな葉では1mほどにな
ります。 
  △ (2) ベニシダ
これはベニシダの若い葉で、しばしば紅色を
おび、胞子嚢群を覆う包膜も紅色になります。
これによりベニシダ(紅シダ)と呼ばれるよう
になったのでしょう。若い葉でも紅色をおび
ない個体があり、これにはミドリベニシダの
名があります。 
        
   
△ (3) オオベニシダ
ベニシダよりも葉の切れ込みが一回多く、光沢
は少ないです。名前に“オオ”とつきますが、ベニ
シダより大形になるわけではありません。市内で
は百草や程久保、平山などで目にします。オオベ
ニシダは、ミサキカグマとベニシダの仲間のある
種との雑種起源との研究報告があります。
  △ (4) イヌワラビ
市内ではもっともよく見ることができるシダでしょ
う。しばしば庭の雑草扱いをされることもあります。
中学や高校の理科でシダ植物の例としてよく取り
上げられます。イヌワラビの斑入りはニシキシダと
呼ばれ、葉は紫色をおびて軸に沿って白く斑が入
いり、綺麗なので栽培されることがあります。
         
     
△ (5) トラノオシダ
虎の尾シダのことで、葉の形を虎の尻尾に例え
たのでしょう。市内でも斜面の下部や石垣の隙間
などでよく見かけます。20cmくらいの小形のシダ
で、葉の切れ込みかたには変化があります。 
   

2018年4月27日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
“マツザカシダ”
シダ植物にも、葉に斑が入る種類があります。ハカタシダ、マツザカシダ、
ニシキシダなどで知られ、観賞用に栽培されることもあります。
マツザカシダは市内の植物目録にも記録がありますが、最近では目にする
ことができなくなってました。つい先日、百草を散策してましたら、側溝の中
に斑入りのマツザカシダが見られました。去年の葉のようで枯れかかってま
すが、そばには新しい葉が伸びかかってます。
斑入りは遺伝性のようですが、同じくシダ植物のイワガネソウにも斑入り が見
つかることがあります。しかしイワガネソウの斑入りは、ウィルス感染によるとの
報告がありますので、栽培はしない方がよいでしょう。

▽写真は、2018.04 百草で撮影


2018年4月12日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
“ヒメカナワラビ”
市の七生側は丘陵地で、擁壁としての石垣が各所で見られます。
そんな石垣の隙間に見慣れないシダがありました。
ヒメカナワラビです。カナワラビの名称がついてますが、イノデの
仲間で、成長した葉でも長さは15〜20cmほどの小形のシダです。
市内新産であるだけでなく、東京都のレッドデータでは絶滅危惧種の
T類となっていて、高尾山の周辺でもなかなか見られません。

▽2018.03 市内南平にて撮影




2018年1月11日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
“セフリイノモトソウ”
市内でもよく目にするイノモトソウとオオバノイノモトソウでは、雑種が形成
されることが報告されています。
雑種はセフリイノモトソウと呼ばれ、1970年代に福岡の筒井氏が注目し、
倉田先生によって名をつけられたように記憶しています。
雑種は両者の特徴があらわれますが、オオバノイノモトソウでも上部の羽片に
翼が見られる個体があって紛らわしいです。
撮影は、2017年12月 市内高幡で

 
1) セフリイノモトソウの裸葉です。
オオバノイノモトソウに酷似しますが、上部の羽片の基部に中軸に
流れる翼が発達していて、イノモトソウの特徴があらわれています。 
 
2) セフリイノモトソウの実葉です。
羽片の基部に中軸に流れる翼が発達しています。イノモトソウの
実葉と間違いやすいですが、下部羽片の基部には翼が見られません。 

2017年6月16日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
程久保地区は、まだ多くの緑に囲まれており、市内でもっとも
多くの種類の植物が見られる場所でしょう。日野市で貴重な
植物であるだけでなく、東京都のレッドデータに記載されている
種類も多数見られます。
梅雨の晴れ間に程久保地区を訪問しました。林沿いの道の脇には
オニノヤガラが花をつけていました。

1) オニノヤガラは、ナラタケ属の菌類に寄生するラン(蘭)の仲間です。
  葉緑体を持ちませんから光合成はできず、養分は寄生した菌から
  得ています。高さは130cmほ どで、かなり大きな個体です。   
2) 花の部分のアップです。これだけの花をつける株(個体)は、あまり
  見られないように思います。

2017年2月25日掲載
七生丘陵調査団の川島です。
紅葉するシダには、アカハナワラビやアカウキクサなどが知られています。
オオハナワラビやホラシノブも、日当たりがよい場所に生育したものは、
冬季に紅葉することが知られています。
程久保の日当たりのよい道沿いの斜面に、紅葉したホラシノブが冬の日差しを
浴びていました。写真は、2017年2月に撮影